いまさら聞けない!プロモーションの基礎知識③
2023.03.01
Contents
前回はプロモーションの実践的な4つの手法と6つのツールについてご説明しました。
様々な場面ごとに手法とツールをそれぞれ上手く使い分けることが重要になります。
今回はネットにおけるプロモーションの7ステップについてご説明します。
現代はネット時代であり、ネット上にあらゆる情報と商品が溢れています。
情報過多な現代では、不特定多数に向けたプッシュ型(企業が顧客に直接的にアプローチ)のプロモーションよりも興味をもつターゲットが自ら情報を取りに来るような、プル型(企業が不特定多数の顧客群にアプローチ)のプロモーションの重要性が増してきています。
ターゲットに確実に情報を届け、購買意欲を促進するためには、適切なタイミングを見計らって適切なプロモーションを使って情報を届けることが大切になります。
ネット時代におけるプロモーションは、以下の7ステップで行うことでより顧客に届きやすくなります。
ネット時代におけるプロモーションの7ステップ
ステップ①ターゲットの明確化
まずはターゲットの明確化です。
これまでの一般的なプロモーションにおいてもターゲット設定は行われていましたが、現代ではより細かく、明確に絞り込む必要があります。
例えば化粧品を売りたい場合、「30代の女性」というターゲット設定では不十分です。
「30代で敏感肌に悩んでおり、肌に優しいコスメを探しているが、そこまでコストはかけたくない女性」というように、より具体的なターゲットをイメージする必要があります。
さらに設定したターゲットが自社の商品やサービスについての認知度、好感度、イメージについても把握すべきです。
ステップ②目的の決定
最終的な目的は当然購入・消費を促して企業に利益が入ることですが、そこに至るまでにはたくさんのステップがあります。
いきなり最終目的を達成するのは不可能なので、ステップを踏んで顧客の購入意欲を徐々に高めなければなりません。
設定したターゲットの認知段階に合わせて目的を設定しましょう。
認知段階の確認方法には様々なモデルがありますが、1つのモデルとして「AIDMA(アイドマ)」モデルがあります。
これは消費者の購入までの段階を5つに分類したモデルで、それぞれの段階の頭文字をとったものです。
A | Attention(注目) | 認識する |
I | Interest(興味) | 興味を持つ |
D | Desire(欲求) | 欲しいと思う |
M | Memory(記憶) | 記憶にとどめる |
A | Action(行動) | 購入するために行動する |
M(記憶)の部分を抜いて「AIDA」モデルということもあります。
いずれにせよ、目的を設定する際はターゲットがどの段階にいるかを考えるのが大切です。
ステップ③コミュニケーションの設計
ターゲットと目的を設定したらようやく「何を、誰が、どのように」メッセージを発信するかを設計する必要があります。
「何を」発信するかを考えるときは、ターゲットの背景を踏まえて目的に沿った内容をメッセージに込めなければなりません。
伝えたいものではなく、ターゲットが受け取りたいものを設計する必要があります。
「誰が」については、基本的に企業自身が主体となりますが、広告などを活用するときは起用するタレントや芸能人が代理の主体となります。
SNS活用の場合はインフルエンサーなどもそれにあたります。
代理主体のイメージが商品・サービスのイメージにもつながるので、発信する主体の選び方には注意が必要です。
内容と発信主体をふまえ、「どのように」表現するかを決定します。
表現方法は大きく分けて「利益訴求型」と「イメージ型」に分けられます。
利益訴求型とは、ユーザーにとっての利益を情報として伝える方法のことです。イメージ型とは、商品・サービスのイメージを膨らませる形で伝える方法です。
どちらがよいかは商品やサービスの特徴により異なるため、それぞれの特徴を分析したうえで決定しなければなりません。ミックスして使うのももちろん問題ありません。
ステップ④コミュニケーションチャネルの選択
コミュニケーションの内容を設定したら最適なチャネルを考えます。
チャネルとは顧客とつながる窓口のことで、マスメディアやネットツール、口コミなどを指します。
大きく分けて人を介する人的なものと非人的なものにわけられます。
口コミや販売員からのおすすめなどが人的チャネル、広告やネットツール、屋外広告などが非人的チャネルに分類されます。効果は人的チャネルの方が大きいですが、相互に関わりあって情報が伝達していくことが多いので、両方を上手に活用するのが最善でしょう。
ステップ⑤予算の設定
ここまで設定して初めて予算の設定に入ります。
どのような商品・サービスであっても、予算の裁量は企業次第です。
予算の決定方法には様々な考え方がありますが、おすすめなのは目標から逆算して予算を立てる方法です。
・市場の何%の人にメッセージを届けたいか設定します(市場シェア目標)。
・メッセージが到達すると想定される市場比率を設定します。
・メッセージを認知し、製品を試用する見込み客の比率(試用率)を設定します。
・試用率1%当たりの広告露出回数を見積もります。
・標的人口1%に対し、1回の露出にかかる費用(GRP)を算出します。
・GRPに基づいて予算を決定します。
引用:効果的なプロモーション戦略の設計・後半|マーケターの思索
ステップ⑥プロモーション比率の決定
プロモーションには以下の4つ(SNSを入れると5つ)の意味があると述べましたが、これらの方法をどのようなバランスで取り入れるかを決定します。
・パブリックリレーションズ(PR)
・セールスプロモーション(販売促進)
・人的販売
・SNSなどの運用
これらのバランスを考えるときは、以下の2点を注意しなければなりません。
・商品、サービスのタイプ…例:消費財(BtoC商品)は広告向き、生産財(BtoB商品)は人的販売向き
・ターゲットの購入意欲段階…購入に近くなるほど人的販売の方が効果的になる
ステップ⑦効果の測定
プロモーションを行ったら、必ず効果を測定し結果を確認しなければいけません。
効果の測定方法には様々なものがありますが、昨今ではKPIを使う方法がよくとられています。
KPIとは重要業績評価指標のことで、売り上げなどに次ぐ補助的な指標のことです。認知度がどれほど増加し、人の関心度がどれほど変化したのかをはかるために用いられます。
WEBの閲覧数やSNSでのシェア数、WEBへの来訪者に対してのクリック数や購入者数などをKPIとして用いることが多いです。それ以外にも、アンケートの実施や、モニターユーザーを募集する方法があります。
プロモーションは施策を実施たら終わりではなく、どのように効果を測定するかまで考えておかねば次のプロモーションに繋がりません。
PR、広告、ブランディング、販売促進…プロモーションとの違いは?
プロモーションはPRや広告、ブランディング、販売促進などの言葉と混同されがちです。
それぞれ、以下のような違いがあります。
プロモーションとPRの違い | プロモーションは販売促進活動(直接的) PRは顧客関係を築くための活動(間接的) |
プロモーションと広告の違い | プロモーションは商品全体をアピール ブランディングは企業全体をアピール |
プロモーションとブランディングの違い | プロモーションは商品自体をアピール ブランディングは企業全体をアピール |
プロモーションと販売促進の違い | 狭義の意味のプロモーションだと同義 広義の意味だと販売促進はプロモーションの一種 |
今回の記事ではプロモーションの基礎知識について、3つに分けてご説明しました。
分からなくなった際は、本記事を参考に整理してみてくださいね!